建設汚泥とは何か?土砂との違いは?リサイクルの現状も併せて徹底解説!
建設汚泥とは、建物や道路の建設・改修、都市開発などで発生する廃棄物の一つであり、水分量が多く含まれる泥状の物質を指します。
一方、土砂は水分含有量が少ないものをあらわします。
建設汚泥になると産業廃棄物に区分されるため、土砂と一緒に処理できず、適正に処理することが求められます。
この記事では、建設汚泥と土砂の違いや現在のリサイクル状況について徹底的に解説します。
建設廃棄物の定義
建設汚泥について理解するには、建設作業中に発生する建設廃棄物について知る必要があります。
建設廃棄物とは、建設時に発生する建設副産物のうち、廃棄物処理法の廃棄物の定義に該当するもののことです。
建設副産物は一般廃棄物と産業廃棄物、建設発生土、有価物に区分できます。
このうち、建設汚泥は産業廃棄物の中の管理型産業廃棄物に分類されます。
産業廃棄物は金属くず、繊維くず、廃油、ガラスくず等、汚泥に分けることができます。
建設汚泥とは何か
国土交通省が発行している「建設工事における建設汚泥リサイクル事例集」によれば、建設汚泥とは「建設汚泥に関わる掘削工事から生じる泥上の掘削物および泥水のうち「廃棄物の処理及び清掃に関する法律」に規定する産業廃棄物として取り扱われるもの」です。
もう少しかみ砕いて説明すると、建設工事や掘削工事で発生する泥状の廃棄物のことです。
具体的には地盤の強さを表す指標であるコーン指数が200kN/m2未満となる土のことです。
標準仕様のダンプでは山積みすることができず、人が歩けないほどドロドロの状態のものが汚泥とされます。
水を非常に多く含むため、かなり処理が大変です。
建設汚泥の種類
建設汚泥は性質により自硬性汚泥と非自硬性汚泥に区分できます。
自硬性汚泥はセメントなどを大量に含んでいるため、放置していると勝手に固まってしまいます。
一方、非自硬性汚泥は水分を多く含むため、放置しているだけでは固結しません。
水分の含有量により、泥水状汚泥と泥土状汚泥の2つに区分できます。
泥水状汚泥は水分含有量に応じて機械式脱水で処理します。
泥土状汚泥は水の含有量が泥水状汚泥よりも少ないため機械式脱水が困難です。
建設汚泥と土砂の違い
建設汚泥と土砂はしばしば混同されます。両者は何が違うのでしょうか。
建設汚泥は建設作業や掘削作業で発生する水分を多く含んだ汚泥で、産業廃棄物に区分されます。
一方、土砂は建設作業や掘削作業で発生するという点では同じですが、産業廃棄物ではありません。
両者の区分は水分の含有量です。
掘削した時に水分を多く含み、ダンプに山積みできなければ建設汚泥であり、山積みできれば土砂となります。
ただし、積むときに人が歩けるほど硬かったとしても、運搬を繰り返しているうちにどろどろになってしまうような土であれば汚泥と判断されます。
一度、汚泥と認定されてしまうと産業廃棄物扱いとなるため、一般土砂として処理できなくなります。
建設汚泥のリサイクル
建設汚泥は工事現場で毎日のように発生します。
実際にはどのように処理されているのでしょうか。
2020年に国土交通省が出した「建設リサイクル推進計画2020(案)~「質」を重視するリサイクルへ~」によると、建設汚泥のリサイクル率は大きく伸びています。
1995年の建設汚泥のリサイクル率はわずか14%に過ぎませんでした。
しかし、5年後の2000年には41%に、その5年後の2005年には74.5%までリサイクル率が伸びました。
2018年には、ついに建設汚泥の94.6%を何らかの形でリサイクルできるようになりました。
リサイクルの用途は以下のとおりです。
・盛土材(約50%)
・流動化処理土(約13%)
・再生砂・砂利(約11%)
ただ、盛土材としての利用は建設発生土と競合してしまうため、建設汚泥由来の盛土材の有償売却は限定的とならざるを得ません。
「建設汚泥の再生利用に関するガイドライン」にある「再生利用制度」を活用した利用促進を図らなければならないとされています。
汚泥処理の流れ
建設汚泥を資材としてリサイクルするにはどうすればよいのでしょうか。
ここでは、汚泥リサイクルの流れを簡単に説明します。
まず、建設現場などで発生した建設汚泥が処理施設に持ち込まれます。
持ち込まれた汚泥は汚泥を受け入れる「ピット」とよばれる汚泥の貯留槽に貯留されます。
ピットに集められた汚泥は濃縮されます。
ピット内の汚泥は、汚泥脱水機に送られる途中で高分子凝集剤が加えられ、汚泥から水分が取り除かれます。
ある程度水分が取り除かれた汚泥が汚泥脱水機にかけられます。
汚泥脱水機にはベルトプレス型とスクリュープレス型があります。
どちらであっても、圧力を加えて水分を取り除くことに変わりありません。
水分が取り除かれた汚泥は脱水ケーキと呼ばれる状態になり、建設資材として再利用されます。
まとめ
今回は建設汚泥についてまとめました。
建設汚泥は建設工事中に発生し続けるうえ、一般的な土砂と違い産業廃棄物として処理しなければなりません。
近年は建設資材としてリサイクルが進んでいます。
ただし、リサイクルには手間や費用がかかっているため、有償でリサイクル活用するには、もう一工夫必要だといえます。